本末転倒酒の虫
僕たちは基本的にお金がない。あっても無いような気がする。
そこでそんな僕たちの強い味方「立ち飲み屋」が現れる。
「給料日前でさ、お金ないからサクッと」とか言っときながら、
気が付けば2時間くらいいる。
いや、2時間以上いる事の方が多い。
立ち飲みの平均時間なんて知らないけど、短くはない。長いほうに分類されるはずだ。
本来の立ち飲みの目的って
・安い
・短時間で
・気軽に
そんなとこだろうと思うのだけど、
如何せん飲み気が勝ってしまい、気が付けば2時間。
よくよく考えれば足も痛い。もたれているのにも疲れてきた。2時間いればそこそこ飲み食いするし、安いとはいえそれなりの金額になる。
そう、本末転倒なのである。
要は、飲みたいだけです。酒の虫なんです。
なんて名付ければいいのかわらない、ほんのりもやっとしていながらも、少し遠くを見つめてふぅと一息ついて、自然とあぁ今週も終わったなあとつぶやくあの、よくわからない金曜日の瞬間をだれか名前を付けてください。
その気持ちを放り投げるために僕たちは行くのです。お酒を飲みに。
なのに、結局仕事のことなんかどうでもよくなって、明日になったら忘れているような話をくだくだ棒立ちで苛立ちもなく2時間杯を傾ける。
考えればなんて酷な話なんだろう。
僕たちは日々、日中社会と戦い、夜は立ち飲み屋で自分の体力と肝臓との闘いを繰り広げる。
いったいいつからこうなったんだ。
と、考えてみるんだけど。それは何だか学生の頃とかに公園や宅飲みをしていたのと同じような感覚なのかもしれない。
お金がないけど、誰かと何かをして過ごしたい。20歳を超えてお酒というオプションを身に着けとりあえず飲みたいけど、対してお金もない。
コンビニでビール買って公園や誰かの家に行き、あの娘がかわいいだ、バイトがだるいだ、明日になったら忘れるような話をするという名前の付けられない時間を過ごしていた。
そう結局飲みたいだけなんです。僕たちはいつまでたっても根本的には何も変わらない。
そんな性根なのか、やはり気取った店は落ち着かない。
大衆的な居酒屋でアキレス腱伸ばしながら飲むのが身の丈に合っている。
そしてよくよく考えてみると、給料日前とか関係なく月初だろうが月中だろうが、大衆的なカウンターにぶ~んと酒の虫は吸い寄せられている。
“福田管”