キブン

みやこつづり-一頁目

img_4027

書は建仁寺 禅居庵 上松正明 住職のもの。

年の瀬になり、大きなイベントも残すところクリスマスだけ。街で繰り広げられているプレゼント商戦を眺めつつ、相方に何を贈れば良いか、ふと考える。顔も性格もわかっている相手に贈るものを考えるのは、それはそれで難しいものである。しかし、7年ほど前は顔も知らない相手に贈りものをするのがブームになっていた。

2010年のクリスマス。前橋市の児童相談所に届けられた10個のランドセル。送り主は、漫画「タイガーマスク」の主人公、伊達直人。添えられたメッセージから、善意の贈りものであることがわかると、これを真似た行為が全国に広まり、一連の活動は「タイガーマスク運動」と呼ばれた。活動の発端となった人物は、後に特定され、毎日新聞のインタビューに匿名で応えている。

「生まれてきてごめんなさい」

送り主に両親はおらず、親戚の間を移り住む生活をしていたという。「お前がいるから家庭がぎくしゃくする」と、言われ「生まれてきてごめんなさい」と謝罪をしていたそうだ。上京後就職すると、自分と同じ境遇の子どもの力になりたいと、寄付を始める。この時に児童福祉施設入所前の「一時保護所」にいる子ども達は、学校にもいけないというのを知ったことからランドセル運動を始めたのだとか。

一時加熱していた運動も、一過性のもので翌年にはもう落ち着いていた。発端となった人物は今でも活動を続けており、今年2016年タイガーマスク35周年イベントに、初めて実名で表舞台に登場した。河村正剛さん43歳。群馬県の会社員。イベントでは「顔が見える方が子どもの励みになり、支援しているのが、ヒーローではなく、私のような普通の人だということを知ってほしい」と語ったそう。

過去のトラウマになりそうな体験が、活動を始めそして、続ける動力になっているだろう。しかし、そこにはもうひとつ、主体性が必要だと思う。どこかの団体に所属するのではなく、小さくても自分でできることをずっと続ける。大きなことはできないが、積み重ねた活動は一度の大きなものにも匹敵するはずだ。

縁があって参加した、臨済宗の座禅体験で住職がこんなことを言っておられた。「自由とは自らを由りどころとすることである」。他人に期待するのではなく、自分を信じることが、主体性を作るのだという。他人に期待することなく活動を続けてきた河村さんは、間違いなく自由な人だろう。

ちなみに12月8日はお釈迦様が悟りを開かれた日だそう。悟りを開くのは無理かもしれないが、やろうと思っていたことを、他人に期待せず始めてみるのもいいかもしれない。自由は意外と近くにある。

“Column:小林茶ノ目”







  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ピックアップ記事

  1. 情熱は国境を越えて-AmericanGrasssigns & Mirr…
  2. 開運・招運のご縁にも期待-関西で強力だといわれているパワースポット5選
  3. 京都市内から約2時間天橋立に行ったら、ぜひ宮津のソウルフード「カレー焼きそば」を…
  4. 京都市内の喧騒を抜けて「長谷ダム」でスリルと紅葉の感動を
  5. ハバネロの約5〜6倍の辛さ! 「キャロライナリーパー」を食す守山の激辛イベントに…

関連記事

  1. キブン

    京都紅葉写真館-嵯峨野「あだし野念仏寺」

    重要伝統的建造物群保存地区に認定されている京都嵯峨野の「嵯峨鳥居本(さ…

  2. キブン

    白日~日本酒篇~酔いどれ譚7杯目

    すっかり秋にもなり、あちらコチラで日本酒イベントも増えてきた。…

  3. キブン

    古着のススメっ!-アメリカ~ヨーロッパ ビンテージ編

    僕、ドMなんです …イケない妄想をしたそこのあなた…

  4. キブン

    相席の楽しみとおっさんの下心の割合-酔いどれ譚十六杯目

    酒を飲みに出かけると、まったく知らない人とテーブルを囲むことがある…

  5. キブン

    場にふさわしくない絶世の美女と大衆酒場における出会いについて-酔いどれ譚九夜目

    確かに彼女はそこにいた。それほど広くない土間にビールケ…

  6. キブン

    京都の新しい楽しみ方!アートもフードもごっちゃ混ぜ、お店主催の音楽イベントが面白い

    飲食店にはそのお店の特色があり、趣味嗜好が同じような人が集まりやすい。…

ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

2人の購読者に加わりましょう

  1. タビ・アソビ

    鬼の声が聞こえる?京都の絶景「立岩」で神秘体験に耳を傾けて
  2. キブン

    酒場での出会い:酔いどれ譚四杯目
  3. キブン

    白日~日本酒篇~酔いどれ譚7杯目
  4. キブン

    はじめてお酒を飲んだ日:サラリーマン酔いどれ譚
  5. タビ・アソビ

    標高450mの山中にある秘境感たっぷりの「淡海湖(処女湖)」
PAGE TOP
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。