美山かやぶきの里の冬の風物詩として人気のイベント「雪灯廊」。雪化粧の里の風景に、優しく灯るろうそくやLEDの幻想的な光に多くの人が心を奪われる。このイベントは日没後から本領を発揮するのだけれど、雪化粧の「かやぶきの里」は昼も十分に非日常を楽しめる。
危険な道のりの先にある絶景
京都全域が大雪に見舞われた1月中旬。夜明けの市内では、スリップ事故が相次いで起こり、救急車やパトカーのサイレンの音がいたるところで聞こえていた。そんな中、あえて山の中にいってみようと思い「美山のかやぶきの里」へ。
装備はスノータイヤだけではなく、チェーンもスタンバイ。市内から嵐山を抜け国道162号線へ。
高雄にいくまでにスリップで動けなくなった車と、追突事故を起こしている現場に出くわす。雪も強くなったり弱くなったり。途中で、国道にせり出した木々に積もった雪が、ドサーっと落ちてきて、文字どおり目の前と頭の中がまっ白に。前と後ろを走っている車も、爆発後の粉塵のように舞う雪が落ち着くまで停車。そこからは積雪量も多くなりさすがにチェーンを装着。
天気が良いと車で2時間かからないくらい「かやぶきの里」なのだけれど、この日は2時間経ってもやっと道の駅「ウッディ京北」を超えたくらい。
基本的に時速40キロを超えないくらいのスピードで走行。スノータイヤでも若干滑っていたせいか、普段は飛ばし屋さんみたいに前を走る車を追い越しまくる人も、この日ばかりはおとなしかったはず。そこまでして「かやぶきの里」に行きたかったのは、これを見たかったから。
由良川付近で見られる雪化粧の風景に思わずパシャリ
白川郷しかり、原風景の雪化粧の美しさはたまらない。広大な土地一面が、一色で染められているというのは琴線に触れるものがある。LEDで森を赤や青に照らし、非日常を演出するライトアップイベントに印象は近いかもしれない。それを、周りには人もいないので、独り占めしている感覚だ。VIPのような優越感も味わえる。
かやぶきの里もこんな感じ
厳しい冬の季節をどのように過ごしているのか、雪化粧の景色だけでなく、生活風景にも興味もそそられる。
近くにある大石酒造もおすすめ
「かやぶきの里」から車で3分ほどの距離には、酒蔵の裏で酒米も育てている「大石酒造美山蔵」も。創業からおよそ300年も山の中で酒造りをしている大石酒造の美山蔵では、新潟を中心とする北の地方で好んで使用される「五百万石」という酒米を育てている。淡麗ですっきりとした味わいになるのだそう。一番人気は「てんごり」。もちろん五百万石100%。そのほか、丹波ワインとのコラボで作ったワインや、兵庫の山田錦を使った日本酒など多彩にラインナップ。店内では甘酒(ノンアルコール)の試飲もあり。
簡単な見学スペースも用意されており、お酒の知識も増えること間違いなし。かやぶきの里に来たらぜひ、足を運んで。
大石酒造 美山蔵
住所:京都府南丹市美山町南新高瀬13
tel:0771-77-0007
定休日や営業時間は要問い合わせ
HP:http://okinazuru.co.jp/
“Text,Photo:中川 直幸”