ソムリエにはお酒が飲めない人がいるらしい。だったらお酒が飲めなくてもワインを楽しめるのでは、というのがそもそもの発想。旅行がてら、その土地ごとのワイナリーを見て回った結果、ワイン嫌いだった私が、少しは飲めるようになった、国産ワインの楽しみ方と、ワイナリーを巡る旅行記を少々。
美食と絶景-日本三景が眼前に広がる「天橋立ワイナリー」
関西のワイン畑は、山に作られているところが多いけれど、「天橋立ワイナリー」は平野。そしてすぐ側には日本三景が眺める海が広がる。漁業の町だけあり、併設されたレストランでは、浜売りで仕入れた海の幸のほか、地元農家から仕入れた食材がふんだんにテーブルに並ぶ。
店内は和紙造形アーティスト堀木エリ子氏制作の照明がフロアを照らし、二階テラスでは日本三景が楽しめる。ランチで訪れてもアート、絶景、美食と、贅沢なひと時が過ごせること間違いなし。
また一階では、サラダとの相性も抜群の「赤ワイン塩」や、子どもにも人気の「白ワインのソフトクリーム」なども販売されている。ワインセラーや製造現場の見学は子どもにも人気だとか。
フェダーバイザーで乾杯を
オーナーの山崎さんは、大学時代に経験した放浪の旅で、カルフォルニアワインを飲み、ワイン世界にのめり込んだそう。卒業してからは、ドイツの品種に強かったという北海道ワインに入社。ぶどう栽培の基本と醸造技術はこの時にみっちり学んだとか。88年に研修で訪れたというドイツで、発酵途中の白ワイン「フェダーバイザー」(赤ワインは「フェダーローター」)に出会う。「天使の羽」を意味する、甘くてフルーティな味わいに衝撃を受け、「天橋立ワイナリー」でも醸造を開始した時から提供。訪れた人にしか味わえないこちらの目玉メニューは、ワインが苦手な人でも楽しめるはず。
こちらで製造しているのは、玉露のような高級ワインではなく、いつでも食卓に並んでいるような、麦茶のようなデイリーワインだそう。手頃な価格で購入でき、ネット販売にも力を入れているので、いつでも取り寄せられる。
近くにはシフォンケーキが人気のカフェや、オーベルジュも用意。天橋立や近郊の観光スポットを見て回る拠点として宿泊し、夜にはワインで一杯なんてのもおすすめ。
天橋立ワイナリー
住所:京都府宮津市字国分123
営業時間:10:00-17:00
Close:水曜日
Tel:0772-27-2222
HP:http://www.amanohashidate.org/wein/
“Text:Taico,Photo:中川 直幸”