秋気漂う、今日この頃。週末から来週にかけて京都も紅葉のピークを迎えそう。すすきの見頃も過ぎ、山の端から徐々に赤や黄色に色づき、葉を落とす木もちらほら。京都市内から車で約3時間、兵庫県「砥峰高原」も、他にもれず赤茶色に染まっているけれど、今なら油絵で描いたような風韻豊かな景色が楽しめる。
豊かな植物が織りなす油絵のような絶景
道路も整備されアクセス良好な「砥峰高原」。10月下旬、黄金色に輝く夕映えのすすきは有名だけれど、すすきのピークを過ぎたこ時季も見逃せない。夜鷹山の緩やかなワインディングロードの先には「ミッドナイト・イン・パリ」よろしく、絵画の世界に迷い込んだかのような幻想的な赤色の高原が広がる。
このような色になるのは、高山植物と湿原地帯に群生する多彩な植物のおかげだとか。スミレやノアザミ、ウツボクサにオトギリソウ、中には絶滅を危惧されるムラサキミミカキグサや、オオミズゴケも。食虫植物のモウセンゴケも確認されている。また初秋にはハッチョウトンボという県レッドリストに登録されている、真っ赤な体の美しいトンボも多く見られる。
どこから撮影しても綺麗な写真が撮影できるフォトジェニックな場所なので、映画やドラマの撮影地になるのも頷ける。
ひと月でこんなに変化が
すすきを撮影するため、野分過ぎたる10月上旬にも訪問。この頃はすすきも咲き始めで、まだ緑が高原いっぱいに広がっていた。観光客もハイキングを楽しむ人、撮影を楽しむ人など多くの人が訪れていた。湿原を歩けばハッチョウトンボやヤブ蚊が後を追ってきて、人も植物も動物の活動も活発。
それからひと月経つと、この変わりよう。まだ2分咲きくらいだったすすきは枯れ、トンボどころか昆虫の姿が見えない。さくらや蝉だけでなく、四季を彩る美しい風景は、すぐに去っていくのだと痛感。この風景が見られるのも、あとわずか。ぜひ今週末の予定にいれてみて。
砥峰高原
まるで油絵の世界度 ★★★★★
住所:兵庫県神崎郡神河町川上801-12
“Text:Taico,Photo:中川 直幸”