自然と調和するコンクリート建築を数多く残す安藤忠雄が、淡路島で手がけたお寺『本福寺』。淡路島の北東部に位置するこちらは、真言密教の寺院で本尊の薬師如来像は淡路市の重要文化財にしてされているそう。本堂は水御堂と呼ばれ、地中に埋まるよう設計されており、参拝者は地上の蓮池から中に潜るように本堂に向かう。それはまるで異世界へ足を踏み入れるような不思議な感覚が楽しめる。
蓮の花がお出迎え
大阪湾を一望できる小高い山の上にある『本福寺』。林に囲まれた小道を本殿に向け歩いて行くと現れる、聖界と俗世を分けるとされるコンクリートの壁。壁沿いを進むと、視界がパっと明るくなり、蓮池が出迎えてくれる。
蓮は泥水の中で育ち美しい花を咲かせることから、仏の智慧や慈悲の象徴とされており、如来像の台座に彫刻されることもしばしば。この池も泥池なのだけれど、中央には綺麗な蓮の花が咲いていた。
地下の本堂へは池を割るような階段を下って
池の真ん中には階段が配されており、本堂はその下。ぱかっと、池を左右に割るようなユニークな入り口を下から見上げると、額に納められた絵画のような空が広がる。足を止めてしばし雲の流れを眺める人も多いそう。
明るい世界から、およそ10mほどの階段を一段一段下がって行くごとに、周りも暗くなっていき、本堂に着いた時には、暗順応が追いつかず、深い暗闇に包まれる。本堂内は撮影禁止のため、写真はないけれど、ぼんやりとした足元の明かりに沿って進んで行くと、現れる薬師如来像。像の後ろには、採光用の大きな格子窓があり、暗闇の中で逆光で拝む薬師如来像は、まるで後光が射しているよう。幻想的な光の演出はぜひ、訪れて確認を。
京都市内から高速道路を使用して3時間半ほど。淡路島には他にも安藤忠雄建築がいくつかあるので、週末を利用して、島巡りを楽しんでみて。
本福寺 水御堂
住所:兵庫県淡路市浦1310
見学可能時間:9:00-17:00
見学料:大人400円、小人200円
※本堂内は撮影禁止
“Text:Taico,Photo:中川 直幸”