商売人でなくても関西人なら誰もが一度は聞いたことがある「とおかえびす(十日えびす大祭/初えびす/関西ではえべっさん以下十日えびす)」という言葉。いったいどういう行事で、どういう意味があるのか、注意点やお参りの仕方、福笹の飾りの意味など、参拝の前に知っておきたいエトセトラをまとめました。これを知った上で本日の「残りゑびす」を楽しんでみてください。
京都市内で「十日えびす」に行くなら「京都ゑびす神社」へ
まず「十日えびす」とは、七福神の「恵比寿様」が生まれたとされる1月10日前後(8日〜12日)に商売繁昌、五穀豊穣、除災招福などを願い参拝する祭典だそう。8日は「招福祭」と呼ばれる神事が行われるそう。9日は「宵えびす」、10日は「初えびす」、11日は「残り福」と呼ばれこの3日間に福娘(京都は福が舞い込む舞妓さんや東映の女優さんなど)による福笹の授与などが行われます。お祭りでもっとも賑わうのがこの期間だそうで、9日10日は夜も閉門することなく一日中参拝が可能だそう。午前2時から祭典も行われるので、参拝する人は夜でも多いようです。12日は「撤福祭」と呼ばれており、午後8時から祭典が行われ「十日えびす」は終了します。
京都市内で「十日えびす」と言えば、東山の「京都ゑびす神社」へ参拝する人が多いそう。ここは日本三大恵比寿と呼ばれる神社だそうで、近隣の県からこられる方も多いのだとか。
参拝の方法や注意点
まず、鳥居のある入り口から境内へ。もし裏門から入ってしまうと「福返し」と言われ、頂いた福が返ってしまいもったいないのだとか。本殿ではお賽銭をし、二拝二拍手一拝でしっかりとお願いを伝えます。恵比寿様が耳の遠い神様だそうで、拍手はパンパンと大きな音で、景気よくする方が多いです。そして、福娘が渡す福笹(有料)を受け取り吉兆で笹を飾っていきます。
福笹に付ける「吉兆」のアイテムにはそれぞれ意味があります。説明は要約。
吉兆の意味
福笹:生命力の強さやまっすぐ伸びる姿などが、繁栄や商売繁昌のイメージと結びつき笹自体が縁起物。
わらじ:履物が掛かっていることは客が来ている証拠なのだそう。転じて客が来るように縁起物に。
絵馬:昔、神様に願い事を叶えてもらう際の返礼として馬を捧げていたそう。毎回馬を捧げることができないので、現在の形に。絵馬には、願い事を叶えて貰うため、神様に捧げる物としての意味があるそう。
熊手:色々なものをかき集める掃除道具が転じて、福をかき集める縁起物に。
鈴:魔除けと神様を呼ぶという意味があるそう。
箕:福をすくい取るという意味だそう。
鯛:海の幸。言葉遊びで「めでたい」縁起物として。
俵:豊作の縁起物。
千両箱や小判などは見た通りのお金。そこから商売繁昌へ。
人気笠:初えびすの時にだけ手に入る縁起物のでっかい笠(頭につけるもの)。商売繁昌の験担ぎ。
家に帰るまでが十日えびす
【たたき板】
福笹を飾り付けたら、神社から出るのですが、これは裏門へ抜けてください。その際に、本殿横の壁をトントンと軽く叩きます。これはお年寄りで耳の遠い恵比寿様にお参りに来たことを伝えるため。おじいちゃんの肩たたきをするイメージでトントンとしてあげてください。
【寄り道NG】
屋台が出ていますが、購入するならお参り前にした方が良いようです。お参りした後、家に帰るまでにご飯を食べたり、どこか店に寄ったりすると、福がそこに落ちてしまうそうなので、速やかに帰宅を。
【笹の飾り方】
福笹はお札と同じ意味があるそうで「目線より高く、清潔な場所」に飾るそうです。方角としては福笹が東か南に向く方が良いとされているので、験担ぎとして北か西に飾るのが良いのだとか。
本日の残り福は午前0時に閉門となるので、それまでに足を運んで、「商売繁昌でささもってこ〜い」を楽しんでみてください。
京都ゑびす神社
十日えびす大祭
住所:京都府京都市東山区 大和大路通四条下ル小松町125
期間:1月8日9:00〜12日22:00
※それぞれの日程の神事の日程はこちら
駐車場:なし
HP:http://www.kyoto-ebisu.jp/
“Text,Photo:中川 直幸”