2018年8月22日からパリのカルーゼル・デュ・ルーヴル内でヤノベケンジ×堀木エリ子の共作「SHIP’S CAT」展開催
現代彫刻家で京都造形大学の教授でもあるヤノベケンジと、和紙作家堀木エリ子による共同制作作品「SHIP’S CAT」の展示会がパリのカルーゼル・デュ・ルーヴル内で開催されるそう。日本政府主催の“ジャポニスム 2018”参加企画事業として開催される今回の展示は、作品はもちろん展示される空間も見もの。
目次
1 「SHIP’S CAT」展 とは?
2 ジャポニスム 2018 はこんな展覧会
3 「SHIP’S CAT」とは ?
4 開催概要
5 作家紹介
1 「SHIP’S CAT」展 とは?
現代彫刻家であり京都造形芸術大学で教授も務めるヤノベケンジと和紙作家堀木エリ子というふたりの作家が“ジャポニスム 2018”参加企画事業としてパリで展示会を開催する。メインはふたりの共作となる巨大障子絵巻『Picture scroll of SHIP’S CAT』(W7800×H2700)。ふたりの代表的な作品も展示予定。
ヤノベケンジは、全長 3mの巨大猫彫刻や、福島「重陽の芸術祭」に出品された『SHIP’S CAT(Black)』、2020 東京オリンピックの旅と海の守り神として 製作された WeBase 鎌倉の『SHIP’S CAT(Harbor)』を。堀木エリ子は、15mの大きさで漉き上げた創作和紙タ ピストリー『SUN』『MOON』や、直径 10m の光床『陽光(YOUKOU)』(全ての命を育む太陽の光をモチーフにした 大型創作和紙)などを出品。
フランス「カルーゼ ル・デュ・ルーヴル」にて日本の現代アートの世界が展開される。
2 ジャポニスム 2018 はこんな展覧会
日本とフランスの両国が連携し、芸術の都フランス・パリを中心に“世界にまだ知られていない日本文化の魅力”を紹介する大規模な複合型文化芸術イベント。
期間も長く、2018年7月12日から2019年2月まで、およそ8ヶ月間にわたりパリ市内を中心に、日本の演劇や映画、絵画、彫刻、インスタレーションなどさまさまな分野のイベントが開催される。
そもそも「ジャポニスム」とは、19世紀のフランスの芸術や文化に新しい価値観を与えた葛飾北斎の浮世絵に代表される、日本趣味の芸術活動の総称。今回の「ジャポニスム 2018:響きあう魂」はそんな19世紀の日本文化の新鮮な驚きを再度発見してもらうための展覧会となる。
目的としては大きくふたつあるとか。 一つは、過去から現代までさまざまな日本文化の根底に存在する、自然を敬い、異なる価値観の調和を尊ぶ「美意識」を紹介すること。山、川、海、森、林など自然と共存し、恩恵も脅威も受け入れ、その中で美しく暮らす術を身につけた日本人の感覚。人の力で自然を抑え込むのではなく、すぐそばにある恩恵と脅威に美しさを見出す日本人の美意識の紹介。 二つ目は、日本とフランスの感性の共鳴させ広げること。中国、西洋、様々な文化の影響を受け発展してきた日本の文化と経済。日本人は、常に外部から異文化を取り入れ、自らの文化と響きあわせ融合させることで、新しい価値観を作り出してきました。文化芸術を通して日本とフランスが感性を共鳴させ、協働し、広げることで、21世紀の国際社会が直面しているさまざまな課題の解決を探ること。だそう。
「ジャポニスム2018」では公式企画に加え、趣旨に合った展示会を期間中パリ市内・近郊で行うプログラムに対して「ジャポニスム2018参加企画」の枠組みを用意。今回の「SHIP’S CAT」展はこの枠での参加となる。
3 「SHIP’S CAT」とは ?
「SHIP’S CAT(シップスキャット)」とは、大航海時代に守り神として船員と同行した猫のこと。ネズミから食物や貨物、船を守り、疫病を防ぐだけでなく、時に船員の心を癒し、さらには天候を予知する能力などから守り神のような存在として世界中を旅をしたそう。現代美術作家ヤノベケンジはここに注目し世界や宇宙すら旅する希望ある未来を予兆し、混迷する社会においても、安全や出会いを助ける守り神となって、人々や若者の旅を導いて欲しいという願いが込め作品を制作したそう。
4 開催概要
「SHIP’S CAT」展
開催日程: 2018 年 8 月 22 日(水)~28 日(火)
開催会場: カルーゼル・デュ・ルーヴル内(サル・スフロ、ホワイエ)
99 rue de Rivoli 75001 Paris
学校法人 瓜生山学園 京都造形芸術大学 株式会社レーサム
京都市
後 援:
日本政府主催“ジャポニスム 2018”参加企画事業
5 作家紹介
ヤノベケンジ(現代美術作家・京都造形芸術大学 教授)
1965年 12月 6日生(現在 52 歳)。ユニークな機械彫刻や巨大彫刻を制作する日本 を代表する現代アーティストの一人。村上隆や奈良美智らと並ぶ、ジャパニーズ・ポ ップアートの旗手として知られ、ユーモアを交えた文明批評的な評価を得ている。ま た約 10m に及ぶ巨大彫刻のパフォーマンスは、日本の「ラ・マシーン」とも呼ばれて いる。
1994 年より活動拠点をドイツ・ベルリンに移し、1996 年「トラフィック」(CAPC 現代美 術館、ボルドー)に参加。1997 年より自作の放射線を検知する防護服を着て、原発 事故後のチェルノブイリなどを探訪する《アトムスーツ・プロジェクト》を開始(1998年
に帰国)。
2002年、イッセイ・ミヤケの店舗のために、着衣室の機能を持つ彫刻作品を制作。 同年、磯崎新との二人展「EXPOSE2002」(KPO キリンプラザ大阪、横浜赤レンガ倉
庫)に参加。2005 年、村上隆キュレーションによる「リトルボーイ」(ジャパン・ソサエテ ィ、ニューヨーク)に参加。2013 年、映画監督・北野武と環境汚染をテーマにした寓意的彫刻《アンガー・フロム・ ザ・ボトム》を共同制作し、「瀬戸内国際芸術祭」で展示。近年では、東日本大震災後の福島を含めて、地域と共 鳴する巨大彫刻を置くことで人々に希望を与える活動を続けている。
Web サイト:http://www.yanobe.com/
堀木エリ子(和紙作家)プロフィール
1962年京都生まれ。
1987年 SHIMUS を設立。2000年に(株)堀木エリ子&アソシエイツを設立。 「建築空間に生きる和紙造形の創造」をテーマに 2,700×2,100mm を基本サイズと したオリジナル和紙を制作。 和紙インテリアアートの企画・制作から施工までを手がける。 「成田国際空港第一旅客ターミナル到着ロビー」「在日フランス大使館 大使公邸」 等、多数の公共施設や商業空間、ニューヨーク カーネギーホールでの「YO-YO MA チェロコンサート」の舞台美術など多分野で和紙作品を制作。 日本建築美術工芸協会賞、インテリアプランニング国土交通大臣賞、ウーマン・ オブ・ザ・イヤー2003、日本現代藝術奨励賞など多数受賞。
Web サイト:http://www.eriko-horiki.com/
text/photo:中川直幸