京都東山にある天台宗の『青蓮院(しょうれんいん)』で2016年10月28日から秋のライトアップイベントがスタート。こちらは京都市内を一望できる絶景エリアで、昼も夜も老若男女幅広い層で賑わう。また境内の「青龍殿」は、ガラスの茶室で一躍有名になった京都の新たな観光名所。夜は街明かりをキラキラと反射する幻想的な雰囲気が楽しめる。
青龍殿はこんなところ
そもそも「青龍殿」は、北野天満宮の「平安道場」を移築したもの。大正2年に大正天皇の即位を祝って建てられ、戦後は府警の武道場として利用されていたそう。老朽化により取り壊されることが決定していたけれど、重要な文化財なので、皇室に所縁のある『青蓮院門跡』が保存するために譲り受けたんだとか。ちなみに「門跡寺院(もんぜきじいん)」というのが、皇室関係者が入寺する寺院で、こちらは三千院、妙法院と並び天台宗の三門跡寺院と呼ばれている。
密教特有の尊格として、崇められる不動明王。「青龍殿」では、三大不動のひとつ「青不動明王」が拝める。迫力のある眼差しが特徴。ちなみに青龍殿内は撮影できるけれど、不動明王の撮影は不可。
ライトアップもいいけれど夜景を見ると京都ってやっぱり都会なのかもしれないと思わせる
『青龍殿』には清水の舞台のおよそ5倍の大きさの舞台から、京都市内を一望できる。春と秋には夜間の特別拝観が行われ、その際には多くのカップルが足を運ぶそう。ただ、二輪の規制が行われており、アクセスするには四輪車が必須。バスかタクシーを利用しないといけないので、有名にも関わらず足を運ぶ人はまばら。もしくは『青蓮院門跡』の手前100mくらいにある夜景スポットで満足する人が多いのかも。

青蓮院門跡手前の夜景スポット
ただ、境内ライトアップや、舞台から見る景色は格別。入ってすぐに感じるには、意外かもしれないのだけれど、お香の香り。赤く染まり始めた紅葉、緑の苔を柔らかく照らすライトよりも、入口に漂う香りが鼻腔をくすぐり、日常から非日常への入り口を演出。
石畳を進んで「青龍殿」の横の狭い回廊を抜け舞台に出ると、パッと視界が広がり、キラキラ輝く夜景が目に飛び込んでくる。ガラスの茶室は夜景に溶け込むように輪郭だけを光らせていて、高層ビルの屋上ってこんな感じなのかもと思うような、都会的な美しさが広がる。
ガラスの茶室「一光庵」は、京都・フィレンツェの姉妹都市提携50周年を記念して飾られたもので、吉岡徳仁氏が製作。2015年から舞台上に設置されている。一度はこんな場所でお茶を味わってみたい。
青蓮院門跡 青龍殿
夜間特別拝観 期間2016年10月28日-2016年12月4日
時間:17:00-21:30
拝観料:大人500円、中学・高校生400円、小学生以下無料
住所:京都府京都市山科区厨子奥花鳥町28
※三脚の使用は可能
“Text:Taico,Photo:中川 直幸”