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京都、日本、東京の移り変わりを考える古地図展がおもしろい

およそ270年の歴史を持つ東九条の農家住宅「長谷川 歴史・文化・交流の家」。登録有形文化財に登録されているこちらでは、JAZZライブや講演会など、不定期で様々なイベントが行われている。現在、2016年9月3日から11月27日の土日祝日のみ開催されているのが「古地図展」。

町家はよく聞くけど農家住宅ってどんなとこ

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町家はよく聞くけど、農家住宅のイメージがよく分からない人も多いでしょう。こちらは築270年という歴史を持つ登録有形文化財で、虫籠窓や箱階段という京町家の雰囲気も残る邸宅。門から母屋へ続くアーチには、蔵が建ち、綺麗に手入れされた庭が見える。20畳ほどはあろうかという大きな土間には、竃や台所など昔ながらの姿を現代に再現。歴史的な建物や品々を展示する歴史・文化の交流の場として開放するほか、学生や社会人の団体が、音楽会などのイベントを行うこともあるそう。イベントスペースとしての貸し出しは要相談。

11月27日までの土日祝日に開催されている「古地図展」は、こちらで所蔵していた京都や日本、東京など1480年頃からの地図15点が展示されている。

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変わったものと変わらないものの「なぜ」を考えながら見ると面白い

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応仁の乱後の1480年から1580年の京都を描いた「中昔京師地図(なかむかしけいしちず)」は、鴨川や高瀬川を中心に発展していった京都の歴史が伺える。また1864年に出版された「大成京細見地図(たいせいきょうさいけんちず)」では、当時の区画と現在の区画と住所もほとんど変わっておらず、髪結いをしていたという場所が現在もヘアサロンになっているなど、長い歴史で変わらないものを確認できる。

この他、京都を中心に日本地図や世界地図の展示が続く。ここまで多くの古地図が所蔵されているのは、当時の農家の指導者的な立場だった長谷川氏が、東九条という土地柄、京都だけでなく、大阪への展開を考える上で必要だったからだそう。

貴重な古地図の数々の説明は、来場者向けのパンフレットがもらえるほか、時間がある時には展示主の中川さんが丁寧にひとつひとつ説明してくれる。じっくり話を聞きたいという人には、比較的来場者が少ないという午前中がおすすめ。

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2階では長谷川良雄氏の水彩画展も同時開催されている

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現在の京都工芸繊維大学(当時の京都高等工芸学校)の第1期生で、浅井忠氏・武田五一氏に学んだ11代目当主の長谷川良雄氏の水彩画展も開催されている。地主をつとめながら絵筆をとり、当時の京都の風景を残した水彩画のほか、京都高等工芸学校の練習帳の展示もあり、設立当初の授業内容も知ることができる。

観光に来た人も、京都で暮らす人も、古地図展で昔の京都を巡る空想の旅をしてみるのも面白いかもしれない。

古地図展 長谷川良雄水彩画展
住所:京都市南区東九条東札辻町5
開催期間:2016年9月3日-11月27日
開館時間:10:00-16:30
開館日:土日祝日のみ
入館料:600円
※11月20日は展示会を監修した佛教大学非常勤講師 伊藤宗介氏の展示説明あり。14:00-15:00

“Text,Photo:中川 直幸”







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