天皇の使者が派遣され行われる勅祭。中でも賀茂神社の賀茂祭(葵祭)、石清水八幡宮の石清水祭、春日大社の春日祭は「三勅祭」と呼ばれている。その三勅祭でも特殊な祭典が国宝石清水八幡宮で2016年9月15日に開催された「石清水祭」だ。
日本三大勅祭なのに、地元京都でも知っている人が少ない
深夜0時を過ぎた頃、普段は18時で営業が終わる男山ケーブルに続々と人が集まってくる。彼らの目的は年に一度開かれる「石清水祭」。
日本三大勅祭の賀茂神社の賀茂祭(葵祭)、春日大社の春日祭は、全国的にも認知度が高いが、京都に住んでいても知っている人が少ないのがこの催事の特徴だ。無理もない、この祭典は深夜2時から始まりので、見学者も残りのふたつと比べると極端に少なくなる。(そのことから私が勝手に「奇祭」と呼んでいる。本当は勅祭なので、「奇祭」というと失礼にあたるけれど、そこはご容赦いただきたい)
今回、見学者の中には海外から旅行にきたと思われる人の姿も見えた。にも関わらず、京都に住んでいる人がこの祭りの魅力を知らないなんてもったいない。
この祭典はとても幻想的で、水曜から夜更かしをしても見る価値があった。

古の衣装に身を包む神人。

深夜2時頃、参道の両側には見学者が集まってきた。中には海外からの旅行者と見られる人もちらほら。
雅楽の音色のようにゆらりゆらり、五百人夜行が山上の本殿から麓を目指す
深夜2時から本殿内で始まった祭典は、3時を過ぎた頃、500人の神人たちが雅楽の音色とともに、本殿から姿を現し麓に向けて行進を開始する。その姿は本当に幻想的だった。ぼんやりと灯る石灯籠。ゆらり、ゆらり、揺れる提灯、古い故実に則った姿をした神人たち、「動く古典」と称される五百人夜行には、浮世を離れた「雅」を感じてしまう。
この祭典は863年に、八幡大神様が男山の裾を流れる放生川に魚や鳥を放ち「生きとし生けるもの」の平安の幸福を願う祭儀として始めたそう。だったら昼でもいいのではないか、と思わずにはいられないのだけれど、それから楽人舞人が舞楽を始めたり、神輿の渡御を行い華やかになったり、1469~87年以降200年にわたり中止になったり、様々なことがあり現在の形になったそう。
ちなみに、この祭典は深夜2時から始まり、夕方まで続くのだけれど、詳しい内容は以下のHPリンク参照。
ぜひ、来年の9月15日にはこの珍しい祭典の幻想的な雰囲気を体験してほしい。
以下写真ギャラリー
石清水祭
後世に残したい京を代表する祭り度 ★★★★★
■時期:9月15日 深夜2時〜
■場所:京都府八幡市八幡高坊30 石清水八幡宮
■問い合わせ:075-981-3001
■HP:http://www.iwashimizu.or.jp/event/chokusai.html
“Text,Photo:中川 直幸”