寺院の特別拝観も始まり、紅葉のピークを迎えた京都市内は、昼夜を問わず観光客でごった返し。観光目的で遊びに来た友人と、そんな市内の名所を回るのもいいけれど、地上の交通網が麻痺するくらい賑わう雑踏の紅葉スポットを避け、ゆったりと楽しめる郊外の穴場スポットを紹介してみては。
カメラ好きを唸らせるフォトジェニックな瞬間がちょうどこれから
白川通りをはじめ、市内にはイチョウで有名なスポットがちらほら。「ここが京都市内ですか」と疑いたくなるような、北区小野郷の「岩戸落葉神社」も、そんなイチョウの絶景が楽しめるスポットのひとつ。神社があるのは、嵐山から奥へと30分ほど周山街道を進み、一本北に道を外れた清滝川添い。普段は美しい苔の庭が楽しめるのだけれど、これからの時季、というかいま。11月中旬から下旬にかけては、黄色いイチョウの葉の絨毯が境内一面を彩るそう。
また、この神社の黄葉にはカメラ好きを唸らせるフォトジェニックな瞬間があるそう。境内にある4本のイチョウの木は、内側2本から葉を黄色くさせ散っていき、その頃になると外側の2本が美しく色づくので、地面は黄色一色、空を見上げても大きなイチョウの木いっぱいに黄色の葉が付いているので、写真映えするのだとか。そのタイミングが今週末くらいからだそう。
ちなみに今週末の19日土曜日は、17時頃から2時間程度ライトアップのイベントが行われるそう。年に一度、一日だけの貴重なイベントなので、ぜひ足を運んでみて。
本殿がふたつある珍しい神社-源氏物語にゆかりが
この神社が面白いのは、鳥居、拝殿がひとつなのに本殿がふたつあること。鳥居から入って正面左が「岩戸社」、右が「落葉社」。「岩戸社」には稚日女神,彌都波能賣神,瀬織津姫神が祀られ、「落葉社」には、紫式部『源氏物語』の登場人物、落葉の宮(女二の宮、朱雀院女二の宮)が祀られているそう。落葉の宮は、夫の柏木の不義により傷心し、この地で隠棲したのだとか。
悲哀のドラマが背景にある神社ですが、イチョウは見事。人も少なく、本殿がふたつある珍しい神社なので、穴場として府外の友人に紹介すると喜ばれること間違いなし。また三脚の使用も規制はないので、今週末はカメラを持って、美しい景色を写真におさめるのも楽しいかも。
岩戸落葉神社(いわとおちばじんじゃ)
住所:京都市北区小野下ノ町 170
“Text,Photo:中川 直幸”